ケニアはブラック・アフリカ諸国の中で日本から最も近いアフリカの玄関とも言える国で、そのイメージどおり、豊かな自然が残り、野生生物が多く生息しているのに加え、ナイロビという近代都市を擁しつつ伝統的な文化を守り続ける人達も多く暮らしているという一面もあります。
国土は日本の1.5倍。その半分以上は乾燥した半砂漠地帯で、サバンナ地帯は実際は国土のごくごく一部にしか過ぎません。赤道直下に位置しているにもかかわらず、国土の大半の平均標高は1300m~1500mの高地であるため、全体的に温暖で過ごしやすい気候となっています。
ケニア国内にはアフリカを代表する多くの国立公園や国立保護区があり、動物サファリを楽しめる他、アフリカ第2の高峰ケニア山やアバーディア山系ではトレッキング、渓流釣りなども楽しめます。また、インド洋に面した海岸地方には、珊瑚礁と白砂の美しい海を持つ高級リゾート地や、長い歴史を持つイスラム色の濃い街並みや文化があります。
経済的に観光に大きく依存しているため野生動物の生息する公園の整備、管理に積極的に取り組んできましたが、増え続ける人口や、観光客の増加により野生生物に与えるストレスの増大と、生息地域の縮小が問題となっているため、自然保護と地域住民の生活の保全を絡めた対策作りが急務と言われています。自然が多く残されている反面、7割以上とも言われる失業率と、都市化による犯罪発生率や貧富の差の増大など、近代社会の抱える問題も多く存在しています。
ケニアには農業国の一面もあり、中部の高原地帯は豊かでケニアの穀倉地帯である反面、それ以外の乾燥地帯では遊牧民による牧畜が盛んに行われています。ケニアには42のエスニック・グループが存在するといわれていますが、農耕民、遊牧民以外にも、アフリカでは少なくなっている狩猟で生計を立てている人々も暮らしています。
国の近代化を担ってきた人々の多くは農耕民ですが、その反面マサイ人やサンブル人、トゥルカナ人に代表される遊牧民達の中には、伝統的な文化を守り続け昔ながらの暮らしを営んでいる人たちも多いです。
また、ケニアは独立以来、政治的に安定し一度も内戦を経験していない数少ないアフリカの国の一つです。これにはケニア人の穏やかで平和を愛する性格が現れているといわれています。ソマリアとの国境付近はアルシャバーブによる脅威がありますが、サファリをするエリアは概ね平穏です。
豊かに残された大自然だけでなく、守り続けられてきた伝統的な文化や、ケニア人が持つ大らかさや、明るさに接することも素晴らしい経験になるでしょう。