国名は、チチェア語で「炎の土地」を意味するかつてのマラヴィ王国に因んで名づけられましたが、英国の植民地時代は当時ニアサ(広い水)湖と呼ばれていたマラウィ湖に因んで二アサランドと呼ばれていました。アフリカ第3位の大きさと第2位の深度を持つマラウィ湖が、国土面積の1/4を占めます。ちなみに湖の半分をマラウィと分け合っているモザンビークでは今でもニアサ湖と呼ばれています。国土はこのマラウィ湖と、それを囲む南部高原、北部平地からなっており、年間を通じて涼しい高原地帯と、それより多少高温多湿な地域に分けられますが、最高気温は27度ほど(雨季)と年間を通じて過ごしやすく、季節は11月から4月までが雨季、5月から10月までが乾季となっています。
高原地帯とその斜面を利用した耕地は肥沃で、穀物や茶、タバコなどの農業は、マラウィ湖での漁業と並んで盛んです。南北に観光大国が控えているため、一見地味な印象を受けますが、その実マラウィ湖を代表として見所は少なくなく、湖でのダイビングやカヤッキング、トレッキングや動物サファリなど、色々な楽しみ方があります。特に透明度の高いマラウィ湖でのダイビングは人気が高く、北部のンカタ・ベイ、ケープ・マクレア、モンキー・ベイなどは、海のないこの国の観光の目玉で、椰子の木が茂る白砂のビーチは一大ビーチリゾートの観を呈し、湖とは思えないほど美しく、インド洋岸の他国リゾートにもひけをとりません。湖に生息する魚はシクリッド類の固有種が多く、また野鳥の宝庫でもあります。
北部、南部にはニイカ台地、ムランジェ山塊と3,000m級の山もあり、トレッキングやハイキング、乗馬なども楽しめます。特にムランジェではムランジェ杉という、レバノン杉と並んで古代より行き続けてきた美しい古代杉の森があります。
都市部以外は治安も良く、人々ものんびりしており、シャイですが気さくな人々が多い国でもあります。一本に真っ直ぐ続く道、瓶や籠に入れた水や野菜を運ぶ女性達が沿道をのんびりと歩いている風景に派手さはありませんが、アフリカの日常を垣間見させてくれる風景でもあり、良い意味で「アフリカの田舎」といえるでしょう。レストランのメニューはケニア、タンザニアとあまり変わりませんが、湖で取れる魚や豊かな穀倉地帯で取れた野菜、穀物など、マラウィの国民性と同様に、地味ですが素朴で味わい深い食べ物の多い国でもあります。