通称「マグレブ」と呼ばれる地域のひとつで、北は地中海、南西はサハラ砂漠があり南端は隣国リビア、アルジェリアとに囲まれています。小さい国ですが、南北に長いその地形のおかげで地中海のリゾートライフからサハラ砂漠でのラクダ乗りまで楽しめます。モロッコと並んでヨーロッパに最も近いアフリカの国のひとつで、地中海を挟んだイタリアのシチリア島は首都チュニスから僅か290㎞の距離にあります。
チュニスの近く、地中海に面して存在したカルタゴは、かつては地中海最大の帝国でしたが、地中海を挟んだイタリア半島に成立したローマ帝国による攻撃を度々受け、地中海の覇権を競うようになります。その際に活躍したカルタゴの名将ハンニバル・バルカは、天才戦略家として、チュニジアが生んだ英雄として、今も語り継がれています。ローマに敗れ、徹底的に破壊されて滅びたカルタゴの遺跡は、チュニスの北の地中海沿いに往時の宮殿と軍港が僅かに残る程度ですが、反面、ローマの遺跡は数多く存在し、カルタゴを含め、ドゥッガ、ケルクアン、エル・ジェム等、多くの遺跡が世界遺産に指定されています。
地中海のリゾートライフを楽しむなら、かつては海賊の基地で、独自の文化が残るジェルバ島や、チュニスから1時間程度で訪問できるハマメット。リゾートとしての歴史はフランス統治時代からと長いため、観光客へのホスピタリティは非常に洗練されています。
また、ケロアン、チュニス、スースに代表される、イスラム到来後に築かれた歴史ある町々には、迷路のような旧市街(メディナ)があり、ここを散策するのが旅の楽しみのひとつです。チュニジアの庶民的な様子を見るのにはもってこいでしょう。旧市街は歩いているだけで楽しめますが、地図を片手に散策してもなかなか目的地に行けないため、雰囲気を楽しむという方に特におすすめです。
一方、中~南部のトズール、ドゥーズ、マトマタ、タタゥインは、映画好きにはたまらない場所でしょう。有名なところで、 「スター・ウォーズ」はタタウィン近郊のクサール・ハッダダが、 「イングリッシュ・ペイシェント」はミデスが、映画のロケに使われました。他にもこんな所が出ていたような・・・という場所が多々あります。その昔、ベルベル系の人々が暮らしていたマトマタの穴居住居、タタウィンでのクサール群は今も一部がそのまま使われています。なかには改装されてそのままホテルになっている所もあり、ぜひ泊まってみたいところです。
トズールやドゥーズはオアシスの町でもあり、北部とはまた違った、オアシスならではの雰囲気を漂わせる旧市街が残されています。この2つの町は、間に横たわる北アフリカ最大の塩湖「ショット・エル・ジェリド」を真直ぐ横切る道路で結ばれています。
そして忘れてはいけないのは、サハラ砂漠グラン・エルグ・オリエンタル(東方大砂丘群)の砂丘群。オアシスの町ドゥーズから4WDに乗換えて道なき道をひたすら進むとクサール・ギレンに到着します。ラグジュアリーなテントロッジがあり、砂漠でも快適に滞在することができます。このクサール・ギレンから、更に南に進み砂丘群を越えていきますと、ティンバインという360℃が砂丘に囲まれた場所にたどり着きますが、ここにある「火星」という名を持ったテントロッジも、砂漠の真只中とは思えない、快適でロマンチックな滞在が可能です砂丘群は歩いて散策するもよし、ラクダでゆったりと進むのも良し、乗馬しても良し、満喫できること間違いなしです。