アフリカ大陸の西側に位置し、国土面積は日本の約3倍。国のほとんどは乾燥地帯で、内陸部の高原地帯を含めて、平坦な土地が広がっています。南部のセネガル川沿いなど一部を除いて、全土がサハラ砂漠に位置するため、国土の90%以上が砂漠という国で、南部のセネガルとの国境に流れるセネガル川や、砂漠の中に点在するオアシスがわずかに乾燥を免れた地域となっています。中央部にはリシャット構造と呼ばれる同心円状の特徴的な地形があります。
観光の目玉は「砂漠」と世界遺産にも指定されている古の「隊商都市」。夏は非常に暑くなるため、旅行するには秋から春にかけてがベストシーズンです。ニジェールやアルジェリアのサハラ砂漠に比べると標高が低く、冬の寒さも穏やかで旅行をしやすくなります。砂丘群を構成する一つ一つの砂丘の高さはあまりなく、起伏が穏やかなので女性的な印象を受けます。「砂漠」=「過酷な大地」をイメージしている方にとってはちょっと物足りなく感じるかもしれませんが、満天の星空と夜の静けさに包まれると、砂漠の中にいながらにして心が癒されます。
北アフリカと西アフリカの間に存在しているような国ですので、人々はアラブ系、ベルベル系、アフリカ系の黒人と様々ですが、概して非常に穏やかな性格です。その中で、ベルベル系の人々は他の北アフリカ諸国より、より彼らのルーツに近い暮らしを営んでいる人々が多く、テントを携えて移動しつつ牧畜生活を続けている本物のノマド(遊牧民)も多く暮らしています。家があっても季節によって居住地を変えている人々も多く、砂漠を旅するとよく空き家を目にします。
モーリタニアを旅行中に目にするものは、全体的にさほど強いインパクトを残しませんが、サハラ砂漠を隊商が行き交っていた時代を偲ばせる、非常に古い手触りの文化が残されているのも確かで、その文化と砂漠の自然景観、素朴なモーリタニア人との交流が最大の見所といえるでしょう。