国名のとおり、アフリカ大陸のほぼ中央に位置し、国土総面積は日本の約1.7倍。東西に横たわる600~700mの台地がチャド盆地とコンゴ盆地を分岐し、東西に1,400m級の山脈がある。また大小の河川が多く、主流は川幅3km 全長1200kmの大河ウバンギ川でコンゴ川に合流します。国土の南部にはカメルーンや両コンゴから続く熱帯雨林が広がる一方、北部は乾燥したサバンナ地帯となっており、熱帯と乾燥地帯のちょうど中間に位置しています。
約390万の人口の4分の1以上が首都バンギをはじめとする都市部に集中し、人口2万人を超える都市が6市あります。人口密度は1㎢あたり6人程度で、東北部と東部はほとんど無人地帯、南西部の密林地帯も人口が少なくなっています。バンダ人、ウバンギ人、バイア人、ザンデ人、サラ人、ピグミー人の6つが主な民族集団となっています。
「アフリカの年」1960年にフランスから独立し、初代ダッコ大統領が誕生。1966年、軍事クーデターによりボカサ大統領が就任、ナポレオン・ボナパルトに憧れるボカサは1976年に帝政を宣言、皇帝ボカサ1世となりますが。1979年のクーデターにより倒され、ダッコが大統領に再就任、共和制が復活しました。その後もクーデターや、クーデター未遂などの政情不安が繰り返され、治安維持のため国連PKO軍、CEMAC軍等の駐留が行われたりしました。2003年にはボジゼ将軍によるクーデターが発生、ボジゼは大統領として暫定政権を立ち上げ、2005年の大統領選挙を経て正式に大統領に就任しますが政情不安は続き、2012年12月には反政府勢力セレカが諸都市を占拠、政府とセレカ等との間で停戦合意がなされましたが、合意の不履行を理由にセレカが再度侵攻を開始。首都バンギを陥落させたセレカの指導者ジョトディアが大統領就任を宣言し、正式に「暫定大統領」の就任式を行いました。その後、次期大統領選挙等への移行期間が始まったものの、キリスト教系敵対勢力(アンチ・バラカ)の活動活発化もあり、人道状況は悪化し、宗教対立も激化。2014年1月にジョトディア暫定大統領が辞任し、首都バンギの市長だったサンバ・パンザ女史が「暫定国民評議会」によって「暫定大統領」に選任されました。セレカとアンチ・バラカは2014年7月に停戦合意し、2015年7~8月には大統領選が予定されているものの、停戦違反や各勢力内の内部衝突はその後も頻発しています。
主たる産業は、農業(綿花、コーヒー、タバコなど)、林業、鉱業(ダイヤモンド、鉄鉱石など)ですが、内陸国のため貿易は1400km離れたカメルーンのドゥアラ港または、1800km離れたコンゴのポワント・ノワール港経由となり、このことが貿易の利益を圧迫し、国際競争力を低下させる大きな原因となっています。農業人口は全体の80%、農業生産は国内総生産の40%を超え、綿花、コーヒー、タバコの3品目の輸出が、輸出全体の20~30%を占める基幹産業のひとつになっています。
サバンナ(サヘル)とアフリカ中央部の熱帯雨林地帯の中間に位置するため、それぞれの特徴を持っており、国立公園の植生も多彩で、いくつかは世界遺産となっていますが、1980年代に近隣のスーダンとチャドで内戦が起こり、活動資金を求めたゲリラたちによる密猟が横行しました。高額で取引される角や牙を目当てにした彼らの密猟の結果、8万頭いたとされるアフリカゾウは数千頭単位に、6000頭以上いたとされるクロサイはほぼ絶滅状態にまで追い込まれました。ヨーロッパ開発基金はこの国立公園の管理・維持のための援助を行っているものの、横行する密猟、難民の流入などによる環境の悪化を理由として、1997年には危機遺産に登録され、現在も厳しい状況は続いています。