キャンプ旅の多かった80年代

風まかせ旅まかせ Vol.26 旅の楽しみは、読書!

今回の記事のひとつに、「旅の必需品は?」というスタッフへの取材があった。自分でも考えてみたが、思い当たらない。バイクなら2泊3日の国内ツーリングでも、2カ月のアフリカ・オーバーランドツアーでも、持っていくモノはさほど変らない。着替えが1セット多いくらいで、あとはビーチサンダルと携帯電話用の電源プラグくらいだろうか。しかし、大きな違いが一つあった。本だ。海外に行くときは、必ず、その期間に応じた何冊かの本を持っていく。たとえ着替えを忘れても洗面用具を忘れても、本さえあればそれでいい。仕事でもプライベートでも、旅行とその行き先が決まった時点で、どんな本を持っていこうかと考え始める。重要かつ、ささやかな楽しみだ。

本を読む楽しみは、当然人それぞれだが、自分にとって一番の贅沢は、実際旅をしている場所、あるいは地域で、昔そこを旅した旅行家や探検家の旅行記を読むことだ。時には、昔読んだ本をわざわざ持って行き、再び読み直す、なんて事までしている。以前、タクラマカン砂漠を縦断しようとホータン川沿いでキャンプをしていたとき、スヴェン・ヘディン著「さまよえる湖」をヘッドライトの明かりで読んだ。外は風があり、砂がテントにぶつかりザーザーと音がする。少年の頃読んだ本なのだが、とにかく臨場感が違うのだ。ヘディンやスタイン、大谷探検隊が旅したシルクロードの砂漠をいま自分が旅している。そう思うとワクワクを通り越してゾクゾクする。

ナイル川をエジプトからスーダンのジュバ(現・南スーダン)まで目指した旅では、ブルースの「ナイル探検」やアラン・ムーアヘッドの「白ナイル」を持参した。毎日オンボロ船の甲板で蚊に刺されながら、夢中になって読んだ。船のスピードが余りに遅く、読むスピードの方が早くて読書の時間調整が必要だった。ハルツームから南はパンツも履いてない人々が住む村が続くので、人々の生活もブルースが旅した200数十年前とそう変りないだろう。

サバンナのキャンプでは、ライオンの遠吠えを聞きながら、ヘッドライトで読むジョイ・アダムソン著の「野生のエルザ」シリーズがたまらない。何しろ直ぐそこに野生のライオンがいるのだから…。

「万巻の書を読み、万里の道を行く」という中国の古い言葉がある。これからもたくさん旅をして、多くの本を読みたい。そして旅のお供には臨場感溢れる昔の旅行記・探検記、お勧めです。

写真 : キャンプ旅の多かった80年代