写真で登るキリマンジャロ/マチャメ・ルート

マラングに対して玄人向けと言われている。宿泊はテントのため、それなりの装備が必要(冬用シュラフなど)。体力の回復などを図ることも、テント泊のため多くは期待できない。
登山道もマラングに比べ野性的。整備が進み、近年は緊急時の対応も迅速になってきた。ルート全区間の距離はマラングより長く、アップダウンの多さなどを考えると体力のある人向きと言える。反面、高山病に関しては、高高度でのアップダウンがルート上に数箇所あるため、ゆっくりと歩いているだけである程度の高度順化は期待できる。よって登頂率(ウフルピーク)はマラングルートよりも高いと言われている。
食堂テント内で取る食事も、明るいうちは外で取れる(=自然が近い)こと、谷の多い南面の荒々しい風景を堪能できることもこのルートの魅力である。またキャンプのためトイレなどの整備は比較的整っていない。歩行距離が長い為か、“山旅”あるいは“遠征”の雰囲気が強い。
モシのホテル  モシのホテル 標高1970M
マラングルート利用で前泊するマラング村のホテルからは、樹林の中のためキリマンジャロがちょっと見えにくいのですが、マチャメルート利用で前泊するモシのホテルからは、晴れてさえいればイメージどうりではないちょっと違う形のキリマンジャロが見えます。
狙い目は早朝、朝食前。高原の朝、引き締まった空気を吸い込みながら、これからの登山への決意を固めます。
マチャメ・ゲート  マチャメゲート 標高1800m
朝食後、迎えの車に乗りマチャメ村へ。
途中、スーパーマーケットで必要なものの買出しを済ませます。モシから約40分でゲート到着。
ここで、ガイド、ポーターと顔合わせをします。入山記録に記入を済ませ、荷物を振り分けていざ登山開始!
このゲートは帰りには寄りませんので、写真を撮る方は忘れずに撮りましょう。
樹林帯  樹林帯
キリマンジャロの緩やかなイメージと違い、結構急な樹林帯。初日としては長い登りです。
このマチャメ村の樹林帯には野生動物はあまり多くありませんが、スミレ科の色彩豊かな花がそこかしこに咲いているのを見ることができます。樹林帯はシダが多く繁り、タモの巨木にはサルオガセが垂れ下がり、霧がたちこめていれば幻想的な熱帯樹林の雰囲気が味わえます。湿度が比較的高く、汗を一番かく部分なので水の消費量も増えます。高山病予防にしっかりと水分を採りましょう。
 
ランチ・ボックス  ランチボックス
登山初日のランチは、ゲートで渡されるランチボックスになります。
中身はマラングルートの場合と変わらず、サンドイッチ、チキン、バナナやオレンジなどのフルーツ、パックのジュースなどです。
樹林帯の中に何ヶ所か休憩ポイントがありますので、森の新鮮な空気とともに味わいます。
マチャメ・キャンプ   マチャメ・キャンプ 標高3000M
鬱蒼と巨木が繁る樹林帯から徐々に背の低いヒースが多くなり、少しずつ視界が開けてきたら、間もなくマチャメ・キャンプです。
切り開かれたヒースの森の中に数箇所に分かれてキャンプ場があります。トイレはキャンプ場の周囲の森に何ヶ所か建っています。
まだまだ標高は高くなってはいませんが、夜は多少冷え込みますのでしっかりと寝袋を広げて寝ましょう。朝は雲が晴れ、キボ峰が望めることが多くなります。
テント泊  テント泊
山小屋泊よりテント泊の方がより自然に近い印象を受けますが、その分気温の変化などはダイレクトに影響します。時には寒い夜もあるでしょう。
基本的にテントは2名で利用しますが、3人用テントが多いので荷物を入れても多少は余裕があります。
低い高度の場所では、湿気があり結露しやすいので荷物が濡れないよう注意が必要です。また、テントマットは基本的にテントに付属していますので、日本からお持ちになる必要はありません。
食事  山中での食事
1日目以外の昼食は(時には朝食も!)『オープンランチ』という、ルート上の広場にテーブル、椅子を広げてとる食事となります。椅子やテーブルをポーターに持って登ってもらう、マチャメルートならではの贅沢です。晴れた眺めの良い場所での食事は絶品です。
また、その場でコックがスープなどを温めてくれるため、暖かいものをとることができるのはありがたいですね。
食事の内容は、スープ、煮込み(トマト、カレー味など。具はチキン、野菜、ビーフ、ポーク、魚など多彩)とライス、パン、スパゲッティなど。フルーツや時にはサラダもつきます。もちろんコーヒー、紅茶は飲み放題です。
トイレ  マチャメルートのトイレ事情
マチャメルートにはもちろん水洗トイレはありません。
トイレは全て掘った穴の上に木造のトイレを載せたものです。扉が無い場所もありますので、ストックなどを持って入り口を塞ぐように立てかけておくのが使用中を知らせるコツです。
ルート上トイレの無い場所でもよおしてしまった場合は、大自然の中で済ませるしかありません。
シラーケイブへの道  シラー・ケイブへの道
いよいよ本格的な登りが始まります。
行程は1日目より短くなりますが、勾配は急になってきます。
低潅木帯を抜けた後の各休憩スペースでの眺望が素晴らしく、疲れも吹っ飛びます。お昼を景色の良いピクニック・ロックで食べた後、午後早くには、シラー峰を眼前に望むシラーケイブに到着します。
眺望  眺望
このシラーケイブから、ちょうど後ろにキボ峰が雄大な姿を現し始めます。
特に日没時は夕陽が山頂直下の氷河を照らします。
いつの間にかキボ峰が近づいてきているのを見て驚かれるかもしれません。前方にはキリマンジャロ3つ目の峰、シラー峰がカテドラル、ニードル、コーンの順に聳えているのを臨むことができます。

シラーケイブ  シラー・ケイブ 標高3000M
シラー・ケイブは正規のキャンプ地シラー・キャンプから離れていますが、初期の登山者達が泊まっていた洞窟(ケイブ)の周囲にあるキャンプ場です。
早めに着いて時間のあるときはシラー・キャンプまで軽く高度順化も兼ねて散歩するのも良いでしょう(往復約1時間)。見晴らしがよく広々と快適なキャンプ場ですが、風を遮る物がないため、風が強い日には少し寒くなります。
エバーラスティングフラワー  シラー・ケイブ付近
シラーケイブ付近はキャンプ場周辺がヒースの林で囲まれている以外は、大きな木も無くエバーラスティングフラワー(永遠の花)が岩場の間に咲いているくらいです。
日が当たると暖かいので、岩の上でのんびり過ごしたりするのも良いですが、日差しだけは強烈ですので注意しましょう。
バランコ・キャンプへの道  バランコ・キャンプへの道
シラー・ケイブからキボ峰に向って緩やかな登り、次いで急なのぼりを過ぎるとシラー・ルートとの合流点(ジャンクション)に到着します。
ここからはウエスタン・ブリーチの巨大な壁と氷河、そしてラバ・タワーを左上部に眺めることができます。絶景を眺めながらランチを食べた後は、バランコ渓谷を一気に下っていきます。
右にトラバースしつつ下っていくと谷底の開けた棚のような場所に出ます。ここが、バランコ・キャンプです。
バランコ・キャンプ  バランコ・キャンプ 標高3950M
谷間に位置しているためガスが発生しやすく、深夜、早朝以外はキボ峰をクリアに望むことは難しいのですが、霧が流れていく狭間から透かし見るキボ峰はまさに絶景の一言。
マラングルートでは決して見ることができない、マチャメルートならではの荒々しい姿を見ることができます。谷底にバランコ・リバーが流れているため、水に困ることが無く少し安心して水を使うことができます。
夜は冷え込みはじめますのでご注意を。
ジャイアント・セネシオ  高地の植生
バランコ渓谷周辺まで来ると、アフリカの高山に特有のジャイアント・セネシオ、ジャイアント・ロベリアの2種の植物が多く見られるようになります。
ロベリアに留まる色鮮やかなハチドリなども見ることができる場所です。
この2種の他に見ることのできる植物はみな丈が短くなり、エバーラスティング・フラワーが多くなります。
カランガ・キャンプへの道  カランガ・キャンプへの道 標高4710M
バランコからカランガまでは、高度順応も兼ねて約3時間の軽い歩き。
朝一番でバランコ・ウォールと呼ばれるこのルート一番の急登を約45分の時間をかけて登ります。その後はゆるい上り下りを繰り返し、最後に台地のような場所に出るとカランガ・キャンプ。
少し遅めの昼食は、キャンプでとります。
登りながらの高度順化  登りながらの高度順化
このルート一番の特徴は、距離が長い替わりに高度順応をする際、停滞することなく行程をこなしながらできることです。
3700mのシラー・ケイブからラバ・タワー周辺で一度4500mを越え、3950mのバランコ・キャンプで4000mラインを下回り、軽い歩きで再度4000mのカランガ・キャンプまで高度を上げます。
バランコ・キャンプで酸素不足による頭痛を訴えている方のほとんどが、この区間で回復することができるようです。
カランガ・キャンプ  カランガ・キャンプ
正面に迫ったキボ峰を望む、大変見晴らしの良いキャンプです。ここがラスト・ウォーターポイントとなります。朝日、夕陽に赤く照らし出されるヘイム、ケルステン、デッケン、レップマンの4つの氷塊からなるウエスタン・アイスフィールドを見ることができます。
もう風景は荒涼とし、植物もあまり見当たらなくなります。
バラフ・キャンプへの道  バラフ・キャンプへの道
前日と同じ位の短い距離をゆっくりと600m標高を上げていきます。キボ峰に向って緩やかな登りを終えると、平坦な道に出ます。下りもある道をしばらく進むとアタックキャンプのバラフが見えてきます。最後に短い急な登りを終えるとキャンプに到着です。
バラフ・キャンプ  バラフ・キャンプ 標高4600M
バラフとは“雪”という意味です。
ここまで来たらいよいよキボ峰山頂部が間近に見えます。陽が当たっていない場所は昼間でもかなり寒く、当然夜のテントは冷え込みます。
が、ここまで来ると極端に乾燥しているので雨や雪の日でもない限り結露はしません。昼頃到着、昼食後の午後は昼寝、夕食を食べたらまた休み、深夜の出発に備えます。
尾根にあるので特に日没後のトイレは要注意。トイレを探していて崖から転落した、という事故がたまにあります。
ステラ・ポイント  ステラ・ポイント/ウフルピークへ
深夜に起き出して、ビスケット、紅茶、コーヒーなどで簡単に腹ごしらえを済ませ、ヘッドランプをつけて出発です。キャンプ地周辺は寒いといってもそれほどではないのですが、できるだけ着込んで登山を始めましょう。
日の出前にはマイナス15度近くにもなります。
一枚岩の上や、砂地のルートは、はじめは緩やかですが徐々に急になっていきます。
ステラ・ポイント(5700m)周辺で日の出を迎えます。ステラ・ポイントからは緩やかになる登山道をさらに上り続け、約1時間でウフル・ピークに到着します。
到着後は速やかに写真を撮り下り始めます。高山病対策のため長居は無用です。下りは砂地の別ルートを先ずはバラフまで一気に下ります。
長い下り  長い下り
バラフ・キャンプで昼食(朝食?)後、荷物をまとめ、テントを撤収し、ムウェカ・キャンプを目指して一気に下ります。
ピークからのバラフまでの下りは相当消耗が激しいのですが、下り始めると濃くなっていく酸素のためもあり、どんどん体力は回復に向います。高地砂漠、低潅木帯、樹林帯とどんどん景観は変わっていき、バラフ・キャンプから約3時間の下りで緑濃いムウェカ・キャンプに到着します。
ムウェカ・キャンプ  ムウェカ・キャンプ 標高3100M
登山のきつい部分を終えた後、ホット一息つけるのんびりした日当たりの良いキャンプ場です。空気が濃いことが実感できます。
ほとんど仕事を終え、荷物も軽くなったポーターたちが、賑やかに歌を歌っている光景をよく見ます。また、ここではビールなども販売しているので、封印してきたアルコールを飲むこともできます。
夜も比較すると暖かく、安心感もあってゆっくり寝ることが出来ます。
ムウェカ・ゲートへ  ムウェカ・ゲートへ
最後の下山です。樹林帯をどんどん下っていきます。
このエリアは雨がパラつくこともあるので雨具は最後までポーターに預けないようにしましょう。樹林帯では色鮮やかなエボシ鳥や、コロブスモンキーを見かけることもあります。
徐々に道が広く、傾斜が緩やかになってきたらゲートはもうすぐです。
ムウェカ・ゲート  ムウェカ・ゲート 標高1500M
マチャメルートのゴール地点です。山中から下ってきた水が瑞々しく流れています。
ここで登山記録に記入し、登頂証明書をもらいます。
証明書は2種類。金色の枠があるウフルピークのものと、緑色の枠のステラ/ギルマンズ・ポイントのものです。証明書を受け取ったらポーター、ガイド達にチップを渡してお別れです。
彼らが歌ってくれる「キリマンジャロの歌」が心に響きます。迎えの車に乗り込んで登山は終了です。

 

健康な身体と情熱があれば、キリマンジャロは来るものを拒みません。
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