マサイ・マラ サファリレポート3日目

弊社のアレンジで、アフリカ大陸を周遊したお客様のレポートです。
今回はケニアのマサイ・マラ国立保護区3日目〜4日目(帰国日)です。
→マサイ・マラ サファリレポート1日目
→マサイ・マラ サファリレポート2日目
→ヴィクトリア・フォールズのレポート
※写真は全てイメージです。

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2003年8月24日〜25日
真夜中の訪問者

今朝になって妻から聞いたのだが、「夜中に象らしきものがテントのすぐ脇を歩いて行ったと」言っていた。寝ている頭の側のすぐそばを通ったとのことだ。
雨の上がった静かな深夜、頭上を音も無く、あイヤ、ミシリ・ミシリと芝草をふみしだき、何者かが通過して行ったと。
ここで声でも上げようものなら、布地一枚、いやフライシートもあるから布地二枚上から強靭なあの長い鼻でひと叩きされたらたまらないと思い、じっとしていたと言う。
下手すればテントを倒され、太い足で踏みつけられでもしたら大変だとも言っていた。私の方は熟睡していて、このことを全く知らない。ちょっと残念な気もする。


キリンが見たい

今朝も早朝サファリへと出かける。
サファリカーに乗ると、キリンガイ氏が見たい動物のリクエストはあるかと聞いた。すかさず私がジラフと応えると、キリンガイ氏は「おおそうだ!忘れていた」と言うような顔をして車を発進する。
ガイドはキリンガイ、見に行く動物はキリン。事は複雑だ。

途中、遥か彼方にいる動物を双眼鏡で見つけ、妻に「エランドがいる」と教えると、キリンガイ氏に「あれはトピだ」と訂正されてしまった。私は双眼鏡、キリンガイ氏は裸眼。
それでもキリンガイ氏にはそれが何なのかが分かってしまう。ちなみにキリンガイ氏は黒ブチの眼鏡をかけているのである。一体、どうなっているの?

目的のジラフは主に木の葉を食べるので、木の生えているあたりを探しまわる。木は川の両岸に帯のような森を形成している。場所によって、疎林であったり密林であったりする。
一面草原のサバンナの中で、唯一木が生えている場所は川が流れているところだと言う。
「森のあるところ川あり、川あるところ森あり」である。
何箇所かの森周辺を探してようやく5頭のジラフを発見。

キリン

ジラフは遠くから見ると首と胴体が別の生き物のように感じられる。首の付け根から上は前後に僅かに揺れている程度の動き。4本の足は、ゆったりと動かしてはいるが、躍動感がある。全く不思議な格好をした動物だ。

車が近づくと歩みは止まる。車が止まるとジラフは歩き出す。まるで5本の木が歩いているかのよう。ジラフは他の動物とは格別違った体形なので見ていても楽しい。
車や人が近くにいてもジラフは決して走り出したりせず、ゆったりした歩きは変わらない。何か気品さえ感じる。動物園でジラフを見ても、何の感慨も浮かばないが、大自然の中で見るジラフには感動さえ覚える。


サファリは続く

サファリカーは再び走り出し、サバンナの中をトロトロと進む。
草丈50cmほどの草原の一角でブチハイエナを見つける。まだヨチヨチ歩きのハイエナが草むらから出てきた。全部で3頭。
しかしまだ草むらの中にもいるのかも知れない。子守りの大人ハイエナが1頭心配して草むらから現れた。
このハイエナは母親ではなく、姉ハイエナだと言う事だ。そして子守りのため、ただ1頭ここで留守番ということらしい。

テレビで見るような、汚ならしい姿、イヤらしい顔つきでは無く、むしろ大人のハイエナでさえ可愛らしく感じた。テレビ映像では、真の姿ではなく、誤解を生じやすいような姿を捉えているのではないだろうか。
野生のハイエナを見るまではものすごく悪いイメージであったが、ここで持っていたイメージを変えなければならない。

ライオン

その後、草食獣の群れを、広大な見通しの利くサバンナで見、狩りに出たライオンの一族を間近で見る。
野生の動物達の体は、動くたびに筋肉が盛り上がり場所によってへこみ筋肉の動きがよく見える。それが動物園の動物達と違ってとても美しい。
首から肩にかけて、背中から腰、そして後足の付け根から大腿部の筋肉の動きがよく分かる。動くたびに筋肉がムキムキ、モリモリ、どう表現したら良いのか分からないが、盛り上がりへこむ。それは一流のスポーツ選手のよう。
ムダな肉が1片も無い。ギリシャの戦士の彫像を思わせる。特にオスライオンの肩から上腕部、腰、大腿部が顕著である。野生の動物達の姿は、草食・肉食を問わず精悍で美しい。


ピクニック・サファリ

一旦キャンプ場へ帰り、昼近くになって再出発。今日の午後はピクニックサファリである。
出発する前、キャンプ場の池にやって来た象は全部で5頭。日に日にやって来る数が少なくなってきている。ちょっと淋しい。
しかし初日のように毎日二十数頭でやって来ていたら、池の草は瞬く間に食べ尽くされてしまうだろう。象も同じ場所に留まって草を食べ尽くすより、移動しながら少しずつ広範囲に草を食べた方が良いと言う事を知っているのだろう。
これも自然のバランスを保つ為の、1つの方法なのかも知れない。

ピクニックサファリは池が近くにあり、土がむき出しになった地域で昼食を摂ると言うもの。

肉食獣と大型獣を警戒してか、草丈は低く見通しのきく場所である。動物ウォッチングの時は車からは降りられない。今回のピクニックサファリで初めてサバンナの土を踏んだことになる。
いま立っている場所と地続きの所にたくさんの野生動物達が草を食み、子育てをし、走りまわっているかと思うと何故か嬉しくなってしまう。気分は子供と同じ。

弁当を食べ、コーヒーを飲み付近を散策する。もちろん草むらには近づかない。危険は何処に潜んでいるか分からない。草食獣の気持ちもかくありなんと思う。
食事後、再びサファリカーに乗ってサバンナを走る。昨日のマラ川土手まで行くが、今はシマウマもヌーも来ていない。すぐにサバンナへと引き返す。見通しの利く場所に4台のサファリカーが止まっていた。

そこには母チーターと3頭の子チーターがいた。母チーターは獲物を探しているらしく、草食獣のいる遠くを見ている。しまいにはサファリカーの屋根に登ってまでして獲物を探している。
こんなシーンはめったに見られない。大勢のウォッチャーがシャッターチャンスとばかりに、あちこちでシャッターを切っている。

チーター

母チーターは車の屋根から下り、草原に向かって姿勢を低くした。首を前に突き出し、目は遠くを見つめている。
後足をかがむようにして腰を低くし、左前足を中空に止めている。スタートダッシュの姿勢だ。
しかし、チーターの目線の先の草食獣はあまりにも遠い。さすがのチーターも諦めたらしく、その姿勢を崩して子チーターの元へ戻ってしまった。チーターの狩りの場面を見ることが出来ると思い、固唾を飲んで見守っていたが残念!肩透かしを食ったようだ。そして今日のサファリは終った。

キャンプ場へ戻る際、明日の早朝サファリをキャンセルする。荷物の整理をゆっくりしたいし、連日のサファリで少々疲れを感じた。
同乗のアンとトムも同じらしい。サバンナでは高曇りの日々が続き、ついに燃えるような夕陽を見ることが出来なかった。少しばかり心残りである。


さよならアフリカ

朝食後、荷物のパッキングを済ませいよいよここを去る時がやってきた。

快適なキャンプ生活が出来たリトル・ガバナーズ・キャンプに別れを告げ、マラ川を沈んだ気持ちで渡る。うつろな気持ちでサファリカーに乗り込み、飛行場へと向かう。
飛行機を待っている間、キリンガイ氏に「サファリは楽しめたか」と聞かれ、「充分に楽しめた。子供の頃からの夢だった」と答える。「じゃあ夢が叶ったんだね」とキリンガイ氏が満足げに言っていた。「また来るよ」と言うと、「待ってるよ」とキリンガイ氏。

本当にもう一度、サバンナの広大な景色を楽しみたいと心より思っている。
飛行機は飛び立ち、サファリカーが遥か後方に小さくなって行く。眼下に広大なサバンナが広がり、川の蛇行に沿った森が地図のような景観を呈している。暫らく飛んでいると眼下は陸の海と化しケニヤの大きさを見せつけられる。
今夜はナイロビに泊まり、明日はヨハネスブルグ。29日午後には成田に到着する。
旅行の度に感じるのだが帰路に向かうのは本当に辛く哀しい。未だ一度も日本に帰ることの喜びを感じた事がない。一体どう言うことなのだろうか。
アフリカの大地を再び訪れたいと心に誓い、筆を置く事にする。

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2003 AUG 萩原 廣志 記
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