マサイ・マラ サファリレポート2日目
弊社のアレンジで、アフリカ大陸を周遊したお客様のレポートです。
今回はケニアのマサイ・マラ国立保護区2日目、本格的なサファリの始まりです。
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→マサイ・マラ サファリレポート3日目
→ヴィクトリア・フォールズのレポート
※写真は全てイメージです。

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2003年8月23日

朝もや漂う早朝サファリ

朝早く起き、早朝サファリへと出かける。朝もや漂うサバンナは清々しい。
時折、インパラやトムソンガゼルの群れと出会う。この二種類の動物たちはここではごく一般的に見られる。
草丈50cmほどの草原で何かが飛びはねた。しかし一瞬の事なのでどんな動物か分からない。その後二回ほど飛び跳ねたのだが、結局何だか分からずじまい。
四つん這い状態で飛び跳ねるところを見ると、サーバルキャットではないかと言うことになった。

マサイ・マラのバッファロー

この時はガイドが見ていない時に飛んだので、話は推測で終った。ガイドのキリンガイ氏の話によると丈の高い草原には動物は来ないとのことだ。
丈が高いと、肉食獣が隠れ易いので、草食獣は近寄らないとのことである。従って草食獣が来ないので、肉食獣も来ないと言うことになる。

丈の低い草原でバッファローの大きな群れに出会う。
総数200頭くらいはいるだろうか。ガイドによるとバッファローは非常に危険であるとのこと。最初のうちは全て同じ様に見えていたバッファローだが、見なれて来るうち、それぞれ固体別にどこかが違っているように見え始めた。
体高、肉付き、毛色、角の形などそれぞれ何処かが少しづつ違うように感じる。
具体的には言い表せないが、人間と同じ様にそれぞれの個性があるのだろう。同じ動物が多数いるとそれが分かって来る。

マサイ・マラのヌー

バッファローの群れの近くにヌーの大きな群れがいる。
こちらも2〜300頭はいるだろうか。ヌーにもそれぞれの個性があるのが分かる。

ヌーはよくライオンに襲われるようだが、頭の上にあるあの立派な角で、頭突きを食らわせれば良いのにと思う。単にメスの争奪戦に使うばかりが能ではないはず、命にかかわる重大な事柄、有効利用に気が付いて欲しい。
しかし、草食獣が有効な防御方法に気づき、肉食獣に倒される確率が減少したら、自然の絶妙なバランスが崩れてしまう。
肉食獣が憎まれて、草食獣が可愛がられ、気の毒がられるのは世の習いだが、観点を変えれば肉食獣が憎まれるのは理不尽なことだ。早朝サファリはポピュラーな草食獣達の朝食風景で終った。


ランチに珍客再訪

昼になり、広場で昼食を食べているとまたもや池に象が現れた。昨日より頭数が少ない。
全部で12〜13頭くらい。昨日の象と同じ群れかどうかは分からない。

昼の食事が終了して暫らくするとまたもや赤ん坊象がキャンプ場に上がって来た。その後に、巨大な母象が上がって来る。昨日同様、立派な白い牙を持っている。赤ん坊象を追うため、キャンプ場の柵を壊して行く。
柵の横木を鼻でチョイと持ち上げると、いとも簡単に横木がはね飛んでしまった。

確か横木は五寸釘で打ち付けてあったはず。象にかかってはそんなもの藁のようにしか感じられないのかも知れない。
キャンプ場のボーイ達も慌てた様子はまったくない。騒然とし、緊張が走るのはもっぱら宿泊客だけ。ガードマンも緊張はしているが、職務上の警戒。

赤ん坊象はキャンプ場の木に体をこすりつけたり、池畔の草を毟って食べている。どうも赤ん坊象は、好奇心が旺盛なあまり、キャンプ場に上がって来てしまうだろう。
他の象達はキャンプ場には上がって来ない。母象は常に赤ん坊象の周辺を警戒して、傍らから離れようとしない。赤ん坊象はチョコマカとキャンプ場内をウロつき回った挙句、池に滑り込むようにして入って行った。母象もゆったりとした動作で池に入り、池の草を毟り、食べながら池の中を歩き、池から上がってサバンナへと消えて行った。


テントの中の様子

やはりこの時も午後サファリに大幅に遅れる。同乗のアンとトムも一緒なので慌てることも無くサファリスタートとなる。

午後はアンのリクエストで象の群れを見に行く。いつものように草原の中を走りぬけ、森が近づいた辺りに像の群れはいた。
子象から母親象まで年齢が幅広い群れで、ノンビリと森からサバンナに向けて歩いて来る。草をむしり、食べながらの行進である。

マサイ・マラの象

サファリカーは停車し、群れが車の前を通過して行くのを見ていると、群れの中から一際巨大な象が出てきた。牙は真っ白で長く、大変立派である。どうやら群れのリーダーらしい。

巨大象はサファリカーの間近に来ると頭を激しく振り、我々を威嚇している。今にも突進して来て、我々を突き飛ばしそうな激しさがある。
キリンガイ氏はギヤをいれると慌てるようにしてその場から遠去かった。

そのままサバンナを走り、大きな岩石が転がっているサバンナの一角にさしかかる。そこにも20頭くらいの象が立っている。
キリンガイ氏によるとここにいる象達は立ったまま寝ているのだと言う。

そう言えば、野生の象は立ったまま寝るのかどうかの予備知識が、私には無かった。
ここにいる象は動かない。立ったままじっとしている。道路はこの象の群れの中を突っ切るようにして通っている。
中でも巨大な象が道路の際に立っているが、その傍らを恐れる風も無く車は通過して行く。寝ている象は大人しい。

そこを走りぬけ暫らくサバンナを走ると、川に突き当たった。キャンプ場に戻る時に渡るあのマラ川の下流なのだ。マラ川の土手に来ると車はエンジンを止め、クロコダイルを探す。
体長3mほどのワニが対岸の土手から、川の水の中に滑るようにして入って行った。上流に頭を向け暫らくじっとしてる。
背中と尻尾のうろこがやっと分かる程度。よそ見している間に川を横断してこちら側の土手近くに身をひそませたようだ。


ヌーの川渡り

クロコダイルに気を取られているうちに、いつの間にかヌーの群れ、シマウマの群れが土手の上にやって来て、身を寄せ合っている。なんだかそわそわしていて落ち着きがない。
シマウマの1頭が土手まで走って行ったかと思うと、サバンナの方へ走り去って行く。
暫らくするとそのシマウマはまた群れに戻って来る。ヌーの方も落ち着きが無く、群れ全体でザワザワと土手とサバンナの間を行ったり来たりしている。群れ全体が昂奮しているようだ。

シマウマ

そう、これはヌーとシマウマの大移動なのだ。新鮮で豊富な草を求めて移動して行く。
旅行前、大移動のシーズン直前なので、この川渡りが見られるかどうか保証の限りではないと、旅行社から聞かされていた。
運が良ければ見られるかも知れないとも言われていたのだが、その諦めかけていたヌーの川渡りが目の前で行われようとしている。

シマウマは4〜5頭が1つのファミリーで一頭のオスに3、4頭のメスがいる。

マサイマラに来て初めて知った事だが、オスの縞の色は黒色、メスの縞は焦げ茶色と言う事だ。
その群れの中の1頭が意を決したかの如く、土手を駆け下り茶色に濁った川の水の中へ、音を立てて走り込んだ。

そして、何かに追われているかのように慌て、泳いで川を横断して行く。

川の中央部では首しか出ない。はたして足は川底についているのか分からない。水から出ている頭の高さが上下しないので、足で川底を蹴っているようには見えない。
浅瀬にたどり着き、あたふたと対岸へ駆け上る。体の水を切って改めて水際に戻って来た。

そして残った群れを呼ぶかのように「ブヒョン、ブヒョン」と短く仲間に呼びかけている。
まるで「早くこっちに来い」「勇気を出して渡って来い」と言っているように聞こえる。残った群れはサバンナと土手とを行ったり来たりして逡巡している。

何度も右往左往している内にシマウマの群れは、サバンナに消えて行ってしまった。それでも川を渡り切ったオスは水辺に立ってこちらを見ている。
愛情不足だったのだろうか、メス達はサバンナに行ったきり戻って来ない。一人残されたオスのシマウマの心中たるや・・・?




ヌーの川渡り 今度は300頭ほどで逡巡していたヌーの1頭が勇気を振り絞り、シマウマが渡った場所から川に入り、水しぶきを激しく立て、これも慌てるようにして対岸に駆け上って行く。
そして身体の水を切った後、水際に戻って来、シマウマと並んでこちら側をじっと見る。

確かヌーも声を出したような記憶がおぼろげながらある。
残った群れは少しの間、逡巡していたが、ある1頭が先ほど渡ったポイントから10mほど下流で川渡りを始めた。すると、他のヌー達も一斉に渡河し始めた。300頭と言えども、壮観である。

まるで市民マラソンのスタートのようにバラバラと川の中に駆け込む。
川の中では飛び跳ねるようにして走り込み、飛び上がるようにして対岸に駆け登る。
対岸の土手では急斜面に遮られて行き詰まっているヌーもいる。
対岸の土手はヌー達の蹄で削られ,えぐられて、新しい土がむき出しになっている。
テレビなどで見る光景が今目の前で繰り広げられている。

程なくして、ヌーの渡河は終了した。頭数が少ないせいか水死するヌーも、ワニに食われたヌーも出ずに、全頭、無事渡河し終えた。

皆、 息を呑むようにして無言でこの光景に見入っていた。
渡河が終了すると、興奮冷めやらぬ面持ち 期待していなかった光景を見ることが出来、幸運に恵まれた事に大いなる喜びを感じた。

他のサファリカーの見物人達で他の見物人と目を合わせている。大声を上げて騒いだりする人は誰もいない。まるで聖なる儀式でも見た後のような雰囲気となっている。
サファリカーの中で、我々も暫し呆然としていた。それほどこの光景には胸打たれるものがある。

逡巡した挙句、勇気を振り絞って渡河したシマウマとヌー。後の群れを呼ぶかのように水辺に佇むシマウマとヌー。それでもサバンナに走り去ったシマウマのメス達。
迷った挙句に大勢で渡河し終えたヌーの群れ。

気持ちの迷いが手に取るように分かり、まるで人の気持ちの揺れを見ているようにさえ思える。三文ドラマを見るより、こちらの方が迫真的。
生死を賭けた偽りのないドラマである。

足音を忍ばせるようにしてサファリカーが一台、また一台と去って行く。我々もリトル・ガバナーズ・キャンプへと戻って行く。いつの間に昼間の明るさが薄らいで来ていた。
キャンプでは、昨日と同じ様に室内のレストランで食事する。
外はどしゃ降りの雨。そろそろ雨季の始まる頃なのであろう。

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2003 AUG 萩原 廣志 記
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