まず、地形・景観。
ケニア・タンザニアには東部アフリカを南北に縦断する大地溝帯があり、その作用でできた独特の景観が広がっています。マサイ・マラやセレンゲティの広大なサバンナも、この作用でできました。アフリカ=サバンナと考える方が多いですが、実はあの景観は東部アフリカ、しかもごく一部に限られるのです。しかし、それよりも特筆すべきは、ンゴロンゴロに代表されるクレーター群でしょう。タンザニアのクレーター・ハイランド(高地)に位置しています。その中でも、世界遺産、圧倒的な知名度、中で一生を終える動物達の存在、のおかげで、「クレーターといえばンゴロンゴロ」と思われがちです。ですが、このエリアには他にも興味深いクレーターがあり、それぞれが独特の景観を持っています。まずンゴロンゴロのお隣のオルモティ・クレーター。ここにはンゴロンゴロに流れ込むムンゲ・リバーの水源が近く、滝もあります。さらにその奥のエンパカイ・クレーターはリムと底部との高低差も大きく、より樹林帯が発達し、クレーター内部の斜面にはフィッグ・ツリー(イチジク)の巨木が多く茂っています。ここはマサイ人の聖地(墓地でもある)であり、底部での放牧が禁止されているほどです。この2つのクレーターを取り巻くのは、丈の短い草に覆われ、うねりながら続いている丘陵地帯で、マサイの人たちが放牧をし、シマウマやガゼルなどの野生動物も多く見ることができます。ぱっと見ると普通の丘陵地帯で、とてもそうは思えないのですが平均標高が2,500mほどもあります。さらなるこの地域の見所は、火を吐く神の山「オルドイニョ・レンガイ」でしょう。エンパカイのリムまでたどり着くことができれば見ることができるこの山は、今でも激しく噴煙を上げ、今年何度目かの噴火をおこしました。
そして、民俗。
クレーター・ハイランドとセレンゲティ、エヤシ湖を合わせたエリアには、様々な生活様式・文化を持った人々が独自の習慣を守って暮らしてきました。その中で、いまでもかたくなに伝統を守って暮らしているいくつかの集団があります。その中でも有名なのはやはりマサイ人。マサイの人々はケニアにも居住していますが、このエリアに暮らすマサイの人々は気候が厳しいせいなのか、より精悍な感じがします。特にンゴロンゴロから離れたクレーターエリアに暮らす人々は、近代化しているとはいえ、昔ながらの暮らしに近い素朴な生活をしています。そして何といってもこのエリアで出会いたい人々といえば、「ハッザ(ハザベ)」の人々でしょう。東アフリカではもうほとんど姿を消してしまった、狩猟採集で生計をたてている人々で、南部のサンの人々に近いクリック音の強い独自の言語を持っています。彼らは今でも狩猟が一部許可されているため、ブッシュで生活するうえでの様々な知恵を駆使して、男性は強弓をひいて鳥類から大型獣まで様々な動物をハントし、女性は根菜類や木の実、蜂蜜などを採集して暮らしています。
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